7月のボトル

7月のボトルは、109番「大天使ザカリエル」。
マゼンタと、ミッドトーンオリーブグリーンの組み合わせ。

このボトルは2011年7月26日に誕生し、東日本大震災に襲われたばかりの日本を癒すために生まれたボトルとされています。

下層のオリーブグリーンは、苦味に関連した色です。
前菜やサラダに入っているオリーブはとても美味しいですし、オリーブオイルも体によい油ですが、オリーブの実そのものは、えぐみが強くてとてもそのままでは食べられません。手をかけてはじめて美味しい食材になります。
このことから、苦味を甘みに変える、つまり、つらかった経験をもとに、それを強みやギフトにしていくような、そんな意味があります。

上層のマゼンタは、日常の些細なことに愛を見出すという意味があります。
オーラソーマの学長マイク・ブースはよく「日本はマゼンタの国だ」と言っています。
森羅万象に神をみて、日常生活を丁寧に生き、小さなところにまで配慮が行き届いている。
そこに、マイクはマゼンタの質を感じたのでしょう。

このボトルを初めて見たとき、私は、震災のこともあってか、美しさとともに小さな痛みも感じました。
少し悲しくなるような、そんなイメージです。
ですが、ボトルの名前が「大天使ザカリエル」で、「ザック」という愛称がついてから、私の中で、このボトルのもう一つのイメージが生まれました。

私はサッカーが好きなのですが、
2011年当時、サッカー日本代表チームの監督はアルベルト・ザッケローニ氏、通称ザックで、日本代表チームも「ザック・ジャパン」と呼ばれていました。
そんなわけで、「大天使ザカリエル」のボトルを見ると、私はザッケローニ監督を思い出します。
今、ロシアでワールドカップが開催されていますが、ザッケローニさんは前回大会、2014年ブラジルで開催されたワールドカップで日本代表を指揮した監督です。
ワールドカップ本大会では思うような成績を収められませんでしたが、今思い出してもとてもいい監督だったという印象があります。
それこそ震災の影響で、強化試合の中止や変更を余儀なくされるなか予選を戦い、見事本大会への出場権を手にしました。
日本が大好きだというザッケローニさんは、日本サッカーの特性を理解し、それを尊重し、日本らしいサッカーをして勝つということを考えた監督であったと思います。

ザック・ジャパンはとてもいいチームでしたし、予選や親善試合、アジアカップ等の国際大会でも好成績を収めることができていたのに、なぜワールドカップで力を発揮できなかったのか。
ザッケローニ監督は名将ではありますが、それまで、ワールドカップ本大会を戦った経験はなかったのです。つまり、日本代表監督として臨んだブラジル大会が初めてのワールドカップだったのです。

ワールドカップは、やはり特別な大会です。
日本が初めて出場したワールドカップは、1998年のフランス大会ですが、当時の日本代表監督だった岡田武史さんも、初戦で対戦したアルゼンチンが、圧倒的な力の差があるにもかかわらず、主力選手を揃え守備的に戦ってきたのをみて、ワールドカップがどういう大会であるかを理解したそうです。
それまで非常に評価も高く、期待もかけられていたザック・ジャパンのブラジルワールドカップでの惨敗を受け、その後の代表監督の選考には、ワールドカップ本大会の経験があるかどうかということも重要視されるようになったそうです。

今年のロシアのワールドカップは、大会直前になって監督が変わるなどドタバタしましたが、現在日本は大方の予想を覆し、見事1次リーグを突破しましたね。
それまでの多くの経験が、日本代表を強くしてきたことは間違いありません。
苦味が甘みに変わり、強みになる。まさにオリーブグリーンですね。

ワールドカップは、4年に一度のサッカーの祭典。
ワールドカップがある夏は、やはりワクワクしてしまいます。
ロシア大会もそろそろ佳境に入る頃ですが、今大会はどんなドラマが生まれるのかなと、大天使ザカリエルのボトルを眺めながら、残りの試合を楽しみたいと思います。